短歌「恋」
2004年 10月 31日
黒い海 堤防の上 仮眠後の恋の終わりを告げる靴音 (寺座主瑠香)
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相変わらずのしとしと雨。
彼が会いに来る日はいつも雨だ。
「雨男だよね」
「あ~?」
もう半分夢の中。
「ねぇ、海見てきていい?」窓から海を見ながらうそぶく
「落ちろよ」
はいはい。
真夏の生温い風が私を包む。雨は霧雨に変わりつつあるようだ。
(ちっとも海の匂いがしないじゃない。)
海が触れるくらい近くまで行きたかったのに降りる所がない。
切り立った塀にあぐらをかき黒い海を眺め、雨に打たれる。
(このまま凍ってしまえたら…)
瞳を閉じて、凍ってもいいように背筋を伸ばす。
むし暑いのに凍るも無い。
ああ、ばかばかしい。何をしても引き止められまい。
すがりつくなどあり得ないし、私の役目じゃない。
そんなことはあの人がしてくれる。
何分ほどそうしていただろか?
ばたん!
コツンコツンコツン。ああ、迎えにきてくれた。
「帰るぞ」
「帰らないんでしょ?」
からかわれた事に気づいたのかちょっと嫌そうな顔をした。
「ねぇ、これって海なのかな~?」
「ばかだろう、お前」
「海まで降りたかったのよ。」
「落ちてこいよ。」
きっと、このまま今日が終わる。
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はい、妄想です。妄想。
という感じであたくちの短歌『恋』フィナーレとさせていただきます♪
お粗末さまでした。
by zoo659
| 2004-10-31 20:49
| 防人